RENA、RIZIN.15で復活。シュートボクシングからRIZIN参戦、欠場、総合格闘技の世界へ
シュートボクサー、総合格闘家のRENA選手がRIZIN.15で見事に476日ぶりの勝利を収めました。
完勝とも言える試合ぶりで復活と言っても良いでしょう。
やはり、RENA選手はRIZIN創成期からの立役者です。
RENA選手のこれまでを振り返り、今後の展望を占ってみたいと思います。
1 シュートボクシングでのRENA選手
では、まずシュートボクシングでのRENA選手の足跡を振り返ってみたいと思います。
1) シュートボクシングとは
シュートボクシングは、シーザー武志が1985年に創設したキックボクシングにプラスして投げ技、立った状態での関節技が認められる格闘技です。
創設当初は、前田日明、佐山聡、高田延彦が所属したUWFと提携しており、このおかげで多くのプロレスファンの注目を集めました。
現在、日本国内に認定ジムが30あり、海外には香港、オランダ、フランス、オーストラリア、アメリカ、韓国、ブラジルに支部があります。
2) シュートボクシングでのRENA選手の活躍
では、シュートボクシングでのRENA選手の活躍をみていきましょう。
① シュートボクシングでのRENA選手の戦績
シュートボクシングでのRENA選手のこれまでの戦績は、
36勝(11KO) 5敗 1引き分け
です。
注目すべきは最近の戦績で2011年9月10日にジェシカ・ペネ選手(米国)に敗れたのが最後で、以降2017年7月7日まで無敗(19連勝)なのです。
なお、ジェシカ・ペネ選手は後に初代Invicta FCアトム級チャンピオンに就いている総合格闘技の強豪選手です。
② シュートボクシングで獲得したタイトル
RENA選手はシュートボクシングいくつものタイトルを獲得しています。
獲得した主なタイトルは、
- シュートボクシング世界女子フライ級王座(初代チャンピオン)
- Girls S-cup 2014 優勝
- Girls S-cup 2012 優勝
- Girls S-cup 2010 優勝
- Girls S-cup 2009 優勝
です。
まさに、女子シュートボクシングの顔とも言える活躍です。
③ RENA選手のシュートボクシングの名試合【動画】
では、RENA選手のシュートボクシングでの試合ぶりをみてみましょう。
まずは、2014年8月2日に行われたGirlsS-cup2014 での決勝戦、 タイのティーチャー・ローンリェン・ギーラーコーラート選手との一戦です。
対戦相手のティーチャー選手はムエタイでも世界タイトルを獲得した強豪です。
shootboxingjapan公式YouTubeチャンネルより
RENA選手はこの日3試合目というハードスケジュールですが、見事にTKO勝利を収めて、Girls S-cup世界トーナメント3連覇となりました。
次はさらに遡って2013年4月20日に行われた台湾のトウ・ペイリン選手との一戦です。
台湾のムエタイチャンピオンでもある強豪です。
shootboxingjapan公式YouTubeチャンネルより
スタンディングでの見事な絞め技で勝利しています。
この頃から絞め技への適応能力もあり、今考えると総合格闘技への転向も自然な流れだったのかもしれません。
④ RENA選手のシュートボクシング試合後のインタビュー【動画】
RENA選手のシュートボクシング試合後のインタビューも紹介します。
まずは、上記の動画でも紹介したトウ・ペイリン選手との熱戦後のインタビューです。
shootboxingjapan公式YouTubeチャンネルより
さらに、こちらは2011年8月19日に行われたGilrs S-cup 2011の試合後のインタビューです。
shootboxingjapan公式YouTubeチャンネルより
2 RIZINへの参戦、順調に白星を重ねる
1) RIZINへの参戦表明
シュートボクシングで順調にキャリアを積み重ねて行ったRENA選手ですが、2015年に人生の一大転機を迎えます。
設立されたばかりのRIZINに総合格闘技で参戦することを、RIZINの設立記者会見で発表したのです。
2015年10月8日に行われたRIZINの設立記者会見の模様です。
RIZIN FIGHTING FEDERATION公式YouTubeチャンネルより
ここからRENA選手の新たな格闘技人生が始まりました。
なんとこの時点では、まだ総合格闘技の練習を始めていなかったとのことで、わずか3ヶ月足らずの練習で総合格闘技のデビュー戦に臨むことになったのです。
2) 総合格闘技デビュー戦
総合格闘技デビュー戦は2015年12月31日の大晦日、
RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS IZAの舞
対 イリアーナ・ヴァレンティーノ選手
が舞台でした。
【動画】RENA vs イリアーナ・ヴァレンティーノ戦はこちらです(Gyaoに移動)
総合格闘技初戦ですので、寝技に対応できるのかを心配しながらみていましたが、なんと2Rに跳びつき腕ひしぎ十字固めで見事にギブアップを奪い勝利しました。
わずか3ヶ月弱の練習での総合格闘技挑戦でこの技が出るのですから、RENA選手の才能を感じざる得ませんでした。
解説の高田延彦さんの驚きと興奮ぶりもとても印象に残っています。
ところで、RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYSでは合計27試合が行われたのですが、女子はこの1試合だけ。
今のRIZINは女子が牽引していると言っても過言ではないので、隔世の感がありますね。
3) RIZINでの快進撃
ここからはRENA選手の快進撃が始まります。
① 山本美憂戦
総合格闘技デビューから9ヶ月後の2016年9月25日には、レスリング女子世界チャンピオンの山本美憂選手と対戦します。
山本美憂選手の総合格闘技デビュー戦ということでとても大きな注目を集めました。
結果はニンジャチョークで見事RENA選手が勝利しました。
この頃には、RIZINには女子格闘技は欠かせないものとして定着したように思います。
【動画】RENA 対 山本美憂 戦はこちらです。(Gyaoに移動)
② ハンナ・タイソン戦 冴えた三日月蹴り
2016年の大晦日には、ポーランドのハンナ・タイソン選手と対戦しました。
私の中では、この試合がRENA選手の総合格闘技でのベストバウトで、KO勝ちとなった三日月蹴りは今だに鮮明に記憶に残っています。
【動画】RENA 対 ハンナ・タイソン 戦はこちらです。(Gyaoに移動)
③ ドーラ・ペリエシュ戦 ポスターは堂々のメインに!
2017年4月16日にはRIZIN初の横浜アリーナでの大会でした。
大会ポスターはRENA選手がメインとなり、また他の女子選手も目立つ位置に配置されRIZINの主役は女子格闘技と言っても過言ではないレベルになってきました。
ドーラ・ペリエシュ選手との試合では、ボディーブローでKO勝利を飾っています。
【動画】RENA 対 ドーラ・ペリエシュ 戦はこちらです。(Gyaoへ移動)
④ スーパーアトム級トーナメント 1回戦 アンディ・ウィン戦
2017年10月15日にはRIZIN女子スーパーアトム級トーナメントが開催されました。
この日に1回戦を行い、大晦日に準決勝、決勝を行うというものです。
1回戦は米国のアンディ・ウィン選手との対戦です。
計量でウィン選手が250gオーバーするというハプニングもありましたが、試合は決行されました。
試合は、またもRENA選手が打撃(ボディーブロー)でKO勝ち。
大晦日の準決勝への進出を決めました。
【動画】RENA 対 アンディ・ウィン 戦はこちらです。(Gyaoへ移動)
⑤ スーパーアトム級トーナメント 準決勝 アイリーン・リベラ戦
そして迎えた2017年の大晦日。
RIZIN女子スーパーアトム級トーナメントの準決勝、決勝が行われました。
試合前のインタビューの様子です。
RIZIN FIGHTING FEDERATION公式YouTubeチャンネルより
準備万端で自信に溢れている様子が垣間見えます。
準決勝は、1回戦で山本美憂選手に勝利して準決勝進出を決めたアイリーン・リベラ選手との対戦です。
接戦が予想されましたが、序盤からRENA選手が危なげない戦いぶりで1R4:39右フックでTKO勝ちとなりました。
【動画】RENA 対 アイリーン・リベラ 戦はこちらです。(Gyaoへ移動)
3 浅倉カンナ選手との二連戦
そして、迎えたRIZIN女子スーパーアトム級トーナメント決勝戦。
浅倉カンナ選手との一戦です。
この試合、そして次の試合がRENA選手にとって総合格闘技人生の転換点となりました。
1) スーパーアトム級トーナメント 決勝 浅倉カンナ戦
2017年の大晦日、RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント 決勝が行われました。
舞台はさいたまスーパーアリーナのセミファイナル、日本中の注目が集まっていました。
相手の浅倉カンナ選手はこの時点は、一般的にはまだ無名と言える存在。
多くの人はRENA選手の優勝を信じていたことでしょう。
試合序盤から緊迫感のある展開でした。RENA選手の打撃をかいくぐって浅倉カンナ選手がテイクダウンを狙います。
RENAの打撃が何発かヒットするものの、浅倉カンナ選手がテイクダウンを奪いチョークスリーパーが極まりました。
RENA選手はタップせず、失神してしまい浅倉カンナ選手の一本勝ちとなりました。
【動画】RENA 対 浅倉カンナ 戦はこちらです。(Gyaoへ移動)
試合の模様、RENA選手の試合後のインタビューなどです。
試合後インタビューは15:27から
RIZIN FIGHTING FEDERATION公式YouTubeチャンネルより
試合後インタビューでは、悔しいながらも気丈に一つ一つの質問に丁寧に答えていました。
2) 再戦もリベンジならず
2017年大晦日でのRENA選手の衝撃の敗戦から7ヶ月後。
2018年7月29日RIZIN.11でRENA選手と浅倉カンナ選手との再戦が行われました。
この試合は、再戦までの期間が短いなど様々な批判がありRENA選手は一転してヒールになってしまいました。
RENA選手もこの状況を逆手にとってか黒いコスチュームで試合に臨みます。
【動画】RENA 対 浅倉カンナ 再戦はこちらです。(Gyaoへ移動)
試合は、浅倉カンナ選手にテイクダウンを毎ラウンド奪われてしまい、判定でRENA選手が敗れてしまいました。
4 減量失敗を乗り越えて
さらに、RENA選手の低迷期は続いてしまいます。
1) 2018年大晦日、減量失敗
RENA選手の復帰の舞台が「RIZIN.14」で用意されました。
初心に帰るという意味もあり、第一試合です。
しかし、前日計量の会場にRENA選手の姿はありませんでした。
その様子はシュートボクシングのMIO選手がツイートしていました。
https://twitter.com/mio_sbo/status/1079349732432998400
減量失敗で無念の欠場となりました。
2) RIZIN.15で見事に復帰
しかし、減量失敗から110日後、RENA選手は再び立ち上がります。
2019年4月21日、横浜アリーナでのRIZIN.15が復活の舞台です。
対戦相手は、減量失敗時と同じサマンサ・ジャン=フランソワ選手との一戦です。
契約体重は前回の49kgから51kgに。
RENA選手はシュートボクシングでは元々50kgでしたのでこの51kgがほぼベストと言える体重ではないかと思います。
試合は1Rこそやや押され気味だったシーンもありましたが2R、3Rは完全にRENA選手が優勢に進め3-0の判定でRENA選手が勝利しました。
特にRENA選手のグラウンドでの技術に進化の跡が伺えました。
試合後のインタビューです。
RIZIN FIGHTING FEDERATION公式YouTubeチャンネルより
RENA選手、とても嬉しそうですね。
5 今後の展望
では、RENA選手の今後の展望について考えてみましょう。
1) 総合格闘技
あくまで私の予想ではありますが、RENA選手の今後の格闘技人生は総合格闘技が中心になってくると思います。
RIZINに参戦以降、総合格闘技の練習が中心になっており今回の復帰戦でもグラウンドでの攻防でその成果が十分に発揮されたと思います。
階級は榊原実行委員長が明言しているように52.2kgで世界の座を狙うのではないかと思います。
また、シンガポールの総合格闘技団体ONEへの移籍、参戦の噂もありますが、その噂も実現の可能性は十分にあるのではと思います。
ただ、ONEに参戦してもRIZINには出場し続けて欲しいとは思います。
ここのところは契約の問題になりますが、うまくクリアして欲しいと思っています。
2) シュートボクシング
RENA選手、シュートボクシングの試合は、2017年7月7日以来2年以上遠ざかっています。
シュートボクシングと総合格闘技の二刀流はなかなか大変なものがあるので、今後もしばらくはシュートボクシングの試合からは遠ざかるものと思います。
理想としては総合格闘技の世界チャンピオンになって、シュートボクシングに復帰することですね。
6 まとめ
RENA選手のシュートボクシングでの活躍とRIZINでの快進撃、低迷、そして復活についてみてきました。
RIZIN創成期から女子格闘技を盛り上げた第一人者です。
ぜひ世界チャンピオン目指して頑張って欲しいものです。